質問:住宅不動産を賃貸する上でのテナントと大家の権利や義務を教えて下さい。(40歳会社員・シドニー在住)

 
回答:以下、Residential Tenancy Agreements(住宅不動産賃貸契約書)が存在する場合(つまり、シェアハウス、ホームステイ、間借などは対象外となる)における両当事者の権利義務についてまとめます。なお、情報量と紙面の都合により今回と次回の2回にわたってまとめたいと思います。今回は入居時と退去時に際しての権利義務についてです。

両当事者がサインした住宅不動産賃貸契約書の一部をテナントに渡すのと同時に大家あるいはエージェントは Condition Reports(入居時の物件の状態に関するレポート)とRenting Guide(Fair Trading NSW発行)をテナントに渡す必要があります。レポートについては、入居前に必ずテナント自身が内容を確認し、同意できない箇所についてその旨コメントした上でサインし、相手側に戻します。もしレポートが渡されない場合には要求し、それでも入手できない場合にはせめて自分で同様のものを作成し(定型雛形は最寄りのエージェントやReal Estate Institute of NSW等から入手できます)コピーを大家に渡します。自らの作成の際にはできるだけ第三者に立ち会ってもらった上で署名をもらい、問題箇所については日付入りで証拠用に写真を撮っておきましょう。

Rental Bond(敷金)の徴収がある場合には、大家は、敷金徴収日あるいはテナントの入居日の内いずれか遅い方の7日以内にRental Bond Boardに納入する義務を負うことになります(義務を怠った場合には罰則の対象となります)。Boardからの納入通知がテナントに送られてこない場合にはテナント自らBoardに連絡し納入を確認するべきでしょう。なお、敷金の金額としては、家具なしの住宅の場合は初回4週間分の賃料以上の金額は徴収できないことになっていますが、家具付の住宅では上限額は設定されていません(例外もあります)。

退去時には利息も含めて敷金の払い戻しを請求することが可能となりますが、全額払い戻しを受けるためには、①退去通知を大家に契約どおりに提出していること、②賃料の未払いがないこと、③通常使用における磨耗を除いてテナントの使用から生じる修繕や修理の必要がないこと、④その他大家の費用負担の対象となる類の契約の不履行がテナントにないことが条件となります。

退去時にもCondition Reportsを大家あるいはエージェントの立会いの下作成します。大家が立会いを拒否するような際には第三者の立会いの下自ら作成します。敷金の返却について大家と論議が起こった場合には証人として第三者の立会を必ず手配しましょう。

 

なお、本記事は法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。