質問: 新しいビジネス(日本食レスストラン)を始めるにあたりレストランの場所を探しています。最近やっと良い場所が見つかりましたが、どういう流れでリース契約が成立するのか、また借りる側としてどんなものを準備したらいいのかよくわかりません。具体的に流れを説明していただけると助かります。(40代・シドニー在住)

 
商業リースは大きく分けてオフィススペースなどを借りるCommercial リースと、店舗やレストランスペースを借りるRetailリースの2種類があります。ここではRetailリースについて解説します。

Retailリースとはオーナーとテナントの間で交わされる賃貸契約書であり、各州の Retail Leases Act にその規定が記載されています。例えばNSW州では一般的に3年から5年のリース契約がスタンダードであり、それに契約を更に延長することが出来る権利(Option)が含まれることがあります。NSW州では3年以上のリース契約書は政府の機関に登記する必要があり、契約の法的効力が保証されるようになっています。

賃貸契約の流れとしては、まずHeads of Agreement(又はInvitation to Treat)というリースの内容を簡潔にまとめた書類がオーナー側から提示されます。これは非公式な書類ですが、リース契約書の内容を左右する大事な書類です。テナント側がHeads of Agreement を受諾すると、次にオーナー側はLessor’s Disclosure Statement という賃貸契約の骨子をまとめた書類(リースの開始日・終了日、賃貸料、賃貸料の見直し、賃貸料以外の経費、契約が中途解約された場合のペナルティ等)をリースの始まる最低7日前までにテナント側に提出します。テナント側はこれがHeads of Agreementの内容と相違がないかどうかを確認し、もし改訂したい部分や補足する点があれば、この時点でオーナー側と交渉します。締結するリーズが合意内容と合致していることを確認したら、今度はテナント側がLessee’s Disclosure Statementをオーナー側に提出します。この書類はオーナー側のDisclosure Statement を受領してから7日以内に提出することになっています。オーナー側の弁護士はこの2種類のDisclosure Statement を基にリースの契約書を作成し、テナント側はリースの書類を最終精査します。最後にオーナーとテナントが書類に署名をして、リース契約が成立となります。

テナント側がリース契約する際に準備する物としては一般的に3つ挙げられます。まず1つ目は敷金(Security Bond)です。これはテナントのリース条項の不履行を担保するためリース期間中ある一定の金額をオーナー側に預託するもので、金額は一般に3カ月から6か月の賃料となります。2つ目は一般損害賠償責任保険で、リース期間がカバーされている付保証明(Certificate of Currency)の提出が必要となります。そして3つ目はリース契約書の登記費用です。また、一般的にリース契約書の作成費用はオーナー側が負担しますが、もしテナント側が自分のDisclosure Statement を提出した後でさらにリースの内容の変更を希望する場合は、テナント側がその修正費用を負担する場合もあります。

以上リース契約の一般的な過程と注意事項の概略としますが、リース契約は千差万別です。またリース契約書は理解しにくい内容や専門的な表現が多々に使われており、書類の精査とオーナー側の弁護士との交渉はリース契約の中で一番難しい過程かもしれません。その為法律の専門家のアドバイスを得ることを強くお勧めします。またリースに署名をする際は、内容を十分に理解したうえ公的書類に署名をするという旨を心得て署名をする必要があります。

なお、本記事は法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。