質問:観光業関係の会社に勤務しており、給料は歩合制です。問題は会社のマネージャーが自分の好みで社員に仕事を振り分けることです。おかげで過去のある月は自分が一番少ない稼ぎになってしまい、一番稼いでいる社員とは2倍近い差でした。これを差別として会社を訴えることはできないでしょうか?(29歳:シドニー在住・女性)

回答:NSW州の制定法であるアンチ・ディスクリミネーションアクト(反差別法)は、人種、性別、妊娠、結婚、身体あるいは精神障害、同性愛、HIVあるいはAIDS感染、年齢、家族の世話や介護の必要等により雇用の場や職場での昇進等の機会において差別することを違法としています。これと似た法律が連邦レベルでも制定されており、州の別を問わず適用を受けますが、全ての差別的待遇が違法とされるわけではなく、上述の理由が背景にある場合のみ、その差別的行為は違法とされます。

ご質問者のケースの場合、機会均等が否定されている理由(明らかなのであれば)や、対象となる職務の内容や性質、又、上司、及び優遇されている方がたの特性等はご質問からはわかりません。受けている差別的待遇が違法か否かを見極めるにはまず、これらの状況を詳しく検証する必要があります。優遇されている方がたが例えば日本国籍でないと仮定した場合、人種を理由とした差別である可能性も考えられます。あるいは、優遇されている方がたが男性であると仮定した場合、上司の方が正当性もなく、つまり、女性でもできる仕事に対して、男性をいつも起用すること等が明らかな理由として挙げられるのであれば、主張の有効な根拠とされる可能性はあるでしょう。

ただし、上述の理由等が背景にあったとしても差別が公然と認められる場合もあります。例えば、女性用手洗いや更衣室の清掃に女性を起用することを差別であるとする主張は認められないでしょう。

又、収入が減少したという事実については、雇用契約との矛盾が生じない限り、あるいは、アワードの適用を受ける職種である場合、アワード上で規定されている最低賃金を下回らない限りにおいては、違法性はないと思われます。ご質問者の職務内容ははっきりとわかりませんが、例えばツアーガイド職に従事されておられるとすると、ある特定の場合を除いてツアーガイド職に対してアワードは存在しない場合もありますので個々の契約が全てとなります。

NSW州アンチ・ディスクリミネーションボード(電話:9268 5544)で現実的な解決方法についてのアドバイスを受けることを考慮してみてください。法的手段を採った場合それに費やす時間や、弁護士を依頼した場合にかかる費用は決して少なくはありません。又、特に職場でのトラブルに関しては、そうした手段をとることが必ずしも良い結果を生むとは限らないとも言えます。まず、上司の方との直接対話を試みることもご検討してみられてはいかがでしょうか。

 

なお、本記事は法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。