Q: 永住権を取得しシドニーに住んでいますが、現在夫(日本人)との離婚を考えています。私たちは日本で結婚したので離婚する場合も日本で手続きを行うしかないのでしょうか。(38歳:主婦)

 
A: これは頻繁に訊ねられる質問の一つで、この他にも「オーストラリアで離婚するには市民権或いは永住権を取得している必要がある」や「相手が原因を作ったので慰謝料が請求できる」などと誤って認識している方が少なくないようです。今回はいただいたご質問にお答えすると同時にこうしたよくある誤解についてもご説明したいと思います。

オーストラリアで離婚を申請する際に満たされるべき条件には、①合法的な婚姻が存在していること、②壊れた夫婦関係がもはや修復不可能であると夫婦の内どちらかが認識していること、③婚姻後2年が経過していること、④別居して12ヶ月が経過していること、⑤夫婦の内どちらかが市民権或いは永住権保持者、又は過去12ヶ月間オーストラリアに居住していること、が挙げられます。ご質問者に関係する①での、「合法的な婚姻」とは当該国の法律に従ってなされた婚姻という意味であり、オーストラリアの法律に限っているわけではありません。従って外国で結婚した場合でもその国の法律に従ってなされた婚姻(日本の場合では重婚や近親間での婚姻でないこと等)であればこの条件は満たせるわけです。因みにオーストラリアでの離婚申請の際に提出が求められるmarriage certificate(婚姻証明書)は日本での婚姻には存在しませんので、戸籍謄本とその翻訳証明が必要になります。

②については、「修復不可能」であることのみが条件であり、どちらか片方の非を立証することは条件付けられていません。つまり、オーストラリアで離婚する際には、離婚に至った原因は追求されないということです。又このことは「慰謝料」や「賠償金」等という概念を払拭するに至り、そのような目的の金銭の支払いを相手に要求することはできません。又、修復不可能であると夫婦の内「どちらかが」認識していればこの条件は満たされるわけであり、両者の意見が合致している必要はありません。オーストラリアでの離婚はあくまでも申請を元に行われる裁判離婚であり、「離婚の届出」ではありませんので、修復不可能であるとした認識が少なくとも申請者側にあればこの条件は満たせることになります。

③と④の条件については、もしも結婚歴2年に満たない場合であっても結婚カウンセラーからの「当該者の婚姻は修復不可能であると思う」とした旨の証明書が提出されることによって申請手続きは可能となり、又12ヶ月間の別居期間の中にいわゆる「家庭内別居」も含めることも可能です。

又⑤で触れているとおり、申請者は市民権や永住権保持者である必要はなく、例え短期滞在ビザの保持者であっても申請から遡って12ヶ月間居住していればこの条件は満たせます。因みに、市民権や永住権保持者が海外駐在等で短期的に国外に居住している場合でもオーストラリアを「拠点」として考え離婚申請を提出することは可能です。

なお、本記事は法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。